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手汗で悩んでいる人なら、誰でも1度は考えたことがあるのが「専門医での治療」ではないでしょうか?
きっとこのサイトを訪れているあなたも、今までに1度は「手汗って治療すれば治るのかな?」と考えたことがあると思います。
ただ、ワキガの治療と違ってあまり広告やCMでも目にする機会の少ない手汗の治療ってどんなものがあるのかあまり知られてはいません。
今回はこの「クリニックなどでの手汗の治療」について詳しくご紹介します。
手汗をクリニックで治療する人がいるって聞いたけど?
冒頭でもお伝えしましたが、手汗を治したい!と思っている人の中には、実際にクリニックなどで治療を受けたことがあると言う人もいます。
手汗というのは「手の平の多汗症」とか、もっと小難しく言うと「手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)」と言われるものなので、治療をしようと思えばできないことではありません。
ただ、部位が「手」、しかも「手の平」であるので、大掛かりな治療をすることになった場合は、治療の影響でしばらく日常生活が不便になることもあります。
けれども、日々手汗に悩んできた人は、一時的な不便よりも「ずっと良くなるなら治療をして治したい!」と切に願っています。
それと言うのも手汗で悩む人は、物心つく頃から自分の手汗について気にしていて、治療を始める人は10代の頃から治療を受けているくらいです。
手汗に悩む人がどうしてこんなにも切羽詰まって治療を希望するのかと言うと、その手汗の症状が結構重いことが原因です。
手汗に悩む人で症状が重い人は、手から汗が滴るほど出たり、手を動かすと汗が飛び散ることもあったり、そんなに重くなくても教科書やノートがぬれる、手が滑る、最近ではスマホが使えないなど日常生活に「日々」支障をきたしているのです。
ですから、治療をしてちょっとくらい不便な日があったとしても、その後の生活の質が改善されるのであれば、それはぜひ治療を受けたい!となるわけですね。
ここで、手汗に悩んでいるあなたに「手汗の症状レベル」をご紹介します。
- LEVEL 1 よく見ると「手が湿っている」ことがわかる程度。触るとしっとりしていることがわかるが、目視では光を反射するとわかるくらい。
- LEVEL 2 手に水滴ができていることがわかる程度。触るとしっとりというより、洗った手をきちんと拭いてない?と思われるくらいに濡れている感じ。
- LEVEL 3 手にできる水滴が盛んで、手を振ると汗がしたたり落ちる程度。
もちろん上記のレベルは、時間帯やその日の天候・気温、そして本人の緊張度合いによっても変わりますが、常にレベル2~3程度と言うのであれば、治療を考えても良いかもしれません。
手汗に対してどんな治療をするの?
あなたが自分の手汗についてとても悩んでいて、治療を受けたい!と考えても、一体どんな治療法があるのか知らなければあなたに適した治療を受けることはできません。
ここでは手汗に一体どんな治療法が施されるのかについてご紹介します。
ボトックス注射による治療
手汗の治療で最も簡単かつ手早くできることで人気が高いのは「ボトックス注射」による治療です。
ボトックス注射と言うのは、ボツリヌス菌という菌(※無毒化済み)を体内に注射し、汗の分泌を抑制するという方法です。
軽度のワキガの治療にも使われることがあるので、電車の車内広告などで名前だけは聞いたことや見たことがある人もいるかもしれませんね。
ボトックス注射の治療費
これは主に美容外科で行われる施術で、1回の治療に数千円~数万円かかることが多いです。
治療費についてはクリニックによって異なるので明確なことはお伝えできませんので、もしこちらの治療に興味があり、クリニックで目星をつけているところがあるなら治療費については直接尋ねることをおすすめします。
ボトックス注射の特徴
ボトックス注射での手汗の治療は、根本原因であるエクリン腺を破壊したり取り除いたりするわけではないので、数か月スパンで再度注射をし続ける必要があります。
また、身体の部位のなかでも痛覚などが鋭い手の平への注射なので、身体の他の部位(例えば注射と言えばの「腕の内側」など)に比較すると強い痛みを感じることは否めません。
さらに、手の平からの発汗量が落ちるため、減った分量が他の部位から発汗することもないわけではありません。
短期的に汗を止めたい場合には即効性もありメリットがないこともないのですが、お金がかかり続けることと、「痛み」がネックになりやすい治療法です。
イオントフォレーシスという治療法
ボトックス注射に比べて、あまり聞きなれない治療法である「イオントフォレーシス」という治療法は、主に皮膚科で施術してもらえる方法です。
イオントフォレーシスの治療費
イオントフォレーシスはとっても特殊な技術を用いるというわけではないのと、皮膚科で施術されるということで、あまり高い治療費を請求されることはないようです。
多くの人は1回2,000円~4,000円前後の治療費でおさまっているということですよ。
イオントフォレーシス治療の特徴

先にもお伝えしたように、この治療は皮膚科で行ってもらえることの多い手汗治療の方法です。
「イオン」と付くだけあって、水素イオンと手を反応させることで手汗の出るエクリン腺へアプローチをかける方法です。
具体的には、手を用意された水に浸し、電気を流すという方法なのですが、ナント週に1回行わなければ効果が持続しないと言われているので1回の治療費がさほど高くなくても、トータルでは1ヶ月に8,000円~16,000円程度かかることになってしまいます。
これに交通費なども必要になってくると、なかなか持続することが難しい治療法になるかもしれません。
ETS手術という治療法
イオントフォレーシスと同じく、あまり聞きなれない言葉の「ETS手術」という治療法、さて一体どんな治療なのでしょうか?
ETS手術と言うのは、簡単に言うと手の平に対して行う「内視鏡を使った手術」です。
ただ、内視鏡を使って汗を出す汗腺(エクリン腺)を切除するのかというとそうではなく、汗腺に発汗をさせるように促す神経の「交感神経」を切除する手術になっています。
ここがワキガの手術とは異なるところです。(ワキガの手術ではワキガの原因となる汗腺の「アポクリン腺」そのものを切除しますからね)
ETS手術の治療費
ETS手術は医師がいて手術施設が調っているのであれば美容整形外科でも通常の整形外科でも施術を受けることは可能です。
ただ、費用は最低でも10万円以上かかるの通常なので、思い立ってやろう!と言うわけにはなかなかいかないかもしれませんし、学生さんであれば自分のお小遣いで…というわけにもいかない治療になります。
ETS手術の特徴
ETS手術は具体的には皮膚に小さな傷をつけ、そこからカメラ付きの細管を入れて、患部を見つつ手術する方法です。
手の平の場合だとワキの下の皮膚を2~4mmほど切って、そこからカメラを肋骨で囲まれた「胸腔」と言われるスペースに入れて、医師はモニターを確認しながら背骨近辺にある「交感神経の束」を見つけて、そこを切断します。
手汗は「右だけ」もしくは「左だけ」ということがほぼないので、手術は左右両方の交感神経の切断が必要になります。
手汗の手術の場合は両方の交感神経の切断に10分程度の時間しかかからないのが通常で、その日のうちに帰宅できる人がほとんどです。
EST手術の副作用はないの?
EST手術は、きちんと適切に行われれば当初の症状を改善することはできます。
交感神経の束を切断しているので、手汗だけでなくワキ汗や首の汗が少なくなると言う人もいますし、人によっては顔面や頭部の汗すら少なくなる人もいます。
しかし、これは喜ばしいことだけではありません。
そもそもエクリン腺の汗は発汗することで体温のコントロールをする役目のあるために、こうした手術を受けた後に発汗が少なくなった首や顔が暑く感じると言う人は少なからずいます。
また、もともと発汗していた部位が発汗しなくなることで、他の部位から発汗する「代償発汗」が見られる人は手術を受けた人の30~70%という結構な割合で存在しているということです。
手術を受けることで手汗は確実に減りますが、そのことで他の悩み(代償発汗など)が出てきたり、100%手汗がなくなるわけではないのでそのことを気にしたりと言う人がいることも頭に入れておく必要があるでしょう。
その他の治療法
手汗の治療法の代表として、ここまでに3つの治療法をご紹介しましたが、手汗の治療には物理的な治療だけでなく、心理的な治療も存在します。
例えば自律訓練法や心理療法などがそれに当たりますね。
他にもプロバンサインという神経遮断薬やアルミニウム配合の外用制汗剤と言った薬物による治療や、ETS手術より大掛かりな手術になる「胸部交感神経遮断手術」というものもあります。
この手術は手汗に関してかなり確実性の期待できる治療法にはなりますが、開胸手術ということで大掛かりであるうえに大きな傷も残ってしまうので現状ではあまり普及をしている方法とは言えません。
手汗の治療は本当に効果があるの?
ここまでにご紹介してきたように、手汗の治療には色々な方法があります。
そのどれもが「現状よりは改善する」ことは認められますが、100%手汗のコンプレックスをなくします!と言い切れるものではありません。
治療法の項目の最後にご紹介した「胸部交感神経遮断手術」については、ご紹介した色々な治療法の中では手汗の改善効果に高い期待が持てるものではあります。
しかし「恋人と手をつなぎたい」から手汗の手術をしたのに「手術の傷が気になって、人前で服を脱ぐことができない」という新たな悩みができてしまう可能性は低くありません。
それぞれの治療はもちろんメリットもありますが、その反面としてデメリットも抱えているわけです。
手汗のデメリットが、治療をすることによって起こるデメリットを超えるのであれば、治療をしてみることを止めたりはしません。
ただ、手汗のデメリット<治療を受けたことで起こるデメリットとなりそうな予感がするのであれば、機が熟すのを待つ(もっと良い治療法が見つかるまで待つ)とか、もっと他に自分に適した手汗をコントロールする方法身に付けても良いと思います。
手汗は自力では改善できないの?
様々な治療法を見てきて、これだと私は治療をするより取りあえず現状維持した方が良さそうだな…と思った人もいるでしょう。
でも、大きな治療を受けなかったとしても、やっぱり少しでも手汗が改善することに越した事はありませんよね。
では、手汗と言うのは自力で何とかコントロールすることはできないのでしょうか?
結論から言えば、自分の努力だけで手汗を完全になくすということは無理に近い話です。
しかし、実は「交感神経」を昂ぶらせすぎない=自分の心の持ちようで手汗を改善することは不可能な話ではないのです。
例えば緊張しやすい心を鍛えて、すぐには動じない胆力をつけるとか、緊張してもリラックスできるアイテム(アロマなど)を持つとか、こういった工夫でも手汗と言うのは改善していくのです。
しかも、最近では「手汗専用」の制汗剤も販売されることになってきたので、こうしたものを「自分の武器」にして「いざと言う時には手汗専用制汗剤に頼ろう」と思えるだけでも心に余裕が出てきて緊張しにくくなったりします。
金銭的なことや時間的なもので、治療を受けること・手術を受けることをすぐに考えられない人は、自律神経(交感神経・副交感神経)について自分でコントロールできるように努力することと、手汗専用の制汗剤を駆使して、手汗を改善させることだってできるんですよ!
まだ試したことがないなら、一度は絶対に試してみて損はないはずです。